2022/08/19 08:10

※こちらは2019年6月15日にnoteにて書いておりました記事(現在非公開)を大幅に加筆修正しました。
 また、とても長いのでお時間のある時にでも読んでみてください。

――toujours_ensembleとは?
まず初めに、私の屋号toujours_ensembleはフランス語で『いつでも一緒』という意味から取らせて頂いてます。
何故この名前にしたかというと、いくつか候補があったなかで、実は『何となく』決めました。
ただこの『何となく』が後々驚かされることとなります。

――ものづくりとの出会い。
そもそも私がものづくりに興味を持ったきっかけは遡ること小学校の低学年。
『住みたい私の家』を作る授業だったと思います。
ダンボールをメインに使い自分の好きな家を作る。
その時はそういう決まりだったのか記憶が曖昧なのですが、確か3階建てを作って各階を自分の好きな部屋、好きな家具を好きなように配置しました。
材料はダンボールやプラスチック容器、色画用紙など各家庭にあるものを使います。

確かその時はその他に綿とか毛糸、ビーズとかとにかく家にあるものをかき集めて自分の理想の家を作った記憶があります。
三人兄弟の末っ子で当時自分の部屋がなかった私はそこが自分の部屋のようでとにかく楽しくて楽しくて、夢中で作りました。

そして遂に理想の家が完成。
上手い下手はともかく私の中に残ったのはもの凄い達成感でした。
恐らくその時ものづくりの快感と、そして後のディスプレイへのこだわりに繋がっていくのだと思います。
それからシルバニアファミリーにはまり、本格的に家具や小物の配置にただならぬこだわりを発揮しはじめます。
家具や小物を少し動かしてはまた戻す。
他の人からしたら理解されなさそうな部分ではありますがその当時からこだわりの強い子供だったのでしょうね。
今の私にも通じるところがあります。

それからごっこ遊びも好きだったのでよくひとりで人形を動かしながら一人二役とかをしていました。
夢見がちな部分もこのあたりからすでにあったのでしょうね。
その後記憶にあるのはビーズにはまったり、スイーツデコが流行った時は樹脂粘土にはまったり、唐突にフェルトで人形の洋服を作ったり、何となくものづくりをやっていました。

――趣味からの分岐点。
そんな私が販売を意識したのは2018年の2月あたりでした。
ですがその時はぼんやりとした思いでしかなく、いつかできたらいいなという夢のまた夢を語るような気持ちでした。
また、当時仕事に行き詰っていたというか、正直心身ともにしんどいなと思う時期でした。
わかる方にはわかると思うのですが感情がすっぽり抜け落ち、疲れているのに夜眠れなかったり食事を摂るのも作業のようになっていました。
何より「これがしたい!」とか、何かに対して「楽しい!」と強く思う気持ちがどこかに行ってしまい、これはさすがにまずいと思い、思い切って仕事を辞めました。
好きな仕事だったのでとても悩みましたが体や心を壊してしまっては元も子もないと気付きました。
それから1か月ほど何もしない生活をしていると、これまで趣味レベルだったアクセサリー作りを本気でやりたいという思いがふつふつと湧いてきました。

――屋号取得と勢いでイベント申し込み。
とはいえ物事を先送りにしがちな私は実際行動に移すのが苦手なのでとりあえず屋号を取り、その勢いでイベントの申し込みをしました。
それが同年の4月です。
とにかく期日のあるものがあればやるしかないので自分という人間を理解した上での選択でしたが、よかったと思います。
また、当時なんとなく始めたいレベルの私を見守ってくれた友達には感謝しかありません。
これは完全に言い訳ですが、できない理由ていくらでも思い浮かびますよね。
どうしてでしょうか。

そんなこんなでイベントの申し込みをしたわけですが、実はあらかじめ目星を付けていたイベントでした。
また、これはただのお節介ですが出展したいイベントには一度お客さん側などで参加しておくとイベントの雰囲気がなんとなくわかると思うのでおすすめです。
イベント会場の規模や客層、ブース数、通路の広さなどお客さんとして参加していても見える部分はたくさんあります。

とは言え全てが初めで、そして手探りでした。
例えば在庫はいくつくらい作ったらいいか、何を用意すればいいのか、釣り銭はいくら必要か、宣伝はいつからどれくらいするのか、などなどとにかくてんやわんやでした。
幸い売り子さんは早々に決まり、ひとりでないという不安からは脱することができました。
その売り子さんは今でも毎回お手伝いしてくださる本当にありがたいお方です。
この場を借りて改めて感謝をお伝えします。

――ところが現実は……
そして遂に迎えた当日。
わかってはいましたが全然売れませんでした。
当時自信のあった作品もディスプレイも惨敗でした。

勿論お迎えして下さった方や、見ていってくださった方、応援に来てくれた友達には感謝の気持ちでいっぱいです。
おかげでお客さんが0ということはありませんでした。
ただ想像以上にシビアでした。
同時に自分の考えの甘さに気付かされました。

――転んでもただで起きたくなくて、
それからは必死に何が悪かったのかを考えることにしました。

イベントの様子を思い出し、当日の流れや客層、あとは近隣のブースを見学させて貰ったことや、実際来て頂いたお客様との会話など、とにかく思い出せること全て。
また、他の方のイベントレポートを参考にしたり、Twitterで人気の作家さんの作品や写真の載せ方、紹介の仕方などを参考にさせて頂いたり、とにかくどうすればいいかを考えました。
そしてその時感じたのが、私の作品のコンセプトと世界観がすごい中途半端だなって気が付いたのです。

――実は私のしていたことは、
はっきり言ってしまえば『自己完結した世界』の押し付けでした。

言語化されていないほぼ感覚に近い部分をお客さんに丸投げしていました。
そりゃ伝わるわけもない。
実際自分だってできていないわけだし。

やりたいことだけ詰め込んであとは丸投げ状態。
作品の説明も少ないし、世界観だって中途半端。
何を表現したいのかわからないと言われても仕方のないものだったと思います。
そもそもお客さんは私じゃないので伝わらなくて当然ですよね。

(本当はここで一緒にディスプレイのことも触れたいのですが、長くなので他の記事で書かせて頂きますね)

――きっかけとなったのは作品と一緒になんとなくで載せた【物語】
お恥ずかしながら私、自分の屋号(ブランド)をちゃんと理解していなかったんですね。
でもそれに気付くのはまた後の話。
その時もいくつか改善点は見つかって、次のイベントは何にしようって考えながら作品をTwitterにアップしたんです。

ただその時にこれまた『何となく』作品をイメージした短い物語を載せたんですね。
現在進行形で夢見がちなところがあるのでこの作品はこのイメージって感じものを考えるのが好きです。
そしたら物語に対する反応がよかったんです。

でもその時はあまり気にしていなくて、私もそこまで物語に重きをおいていなかったので本当に気まぐれで付けるくらいだったのです。
ただ運命の出会いと言いますか、手応えを感じる瞬間が訪れたんです。

――実は苦手だった写真撮影。
それが次に出展するイベントの為の作品の宣材写真でした。
元から注目度の高いイベントであり、これは宣伝をしっかりしなくては!と思い、イベント名のハッシュタグと共に作品の写真をツイートしました。
当時自分の写真に対してポジティブな感情がなく、正直写真よりも実物を見てもらいたいという思いが強かったです。
と言いつつ本音は自分の作品の良さを引き出せない自分の力不足でした。

だけどその時は思ったより反応がよく、それから撮る写真を意識するようになりました。
その前の私は撮らないといけないからやむなく写真を撮っている感覚に近かったのですが、作品単体を撮るのが苦手なら手持ちの小物と一緒に撮ろうと考えました。

――写真は作品単体でなくてもいい。
元からアンティーク調の小物や雑貨が好きで、作品と一緒に写真を撮って上げていたらそのうち『物語性』とか『世界観がある』と言われるようになったのです。
正直驚きでした。
そんなつもりは全くなかったし、こんな写真でもいいの?と。

ですが次第に、なら物語も一緒に添えてみようとか、写真をもっとこだわろうとかいろいろアイディアが浮かんで実行してみたんです。
結果『世界観が好き』『物語含めて作品が好き』などのお声を頂くことが増え、私の中でコンセプトが決まっていく瞬間でした。
そこでようやく屋号の登場です。

――やっと見えてきた世界観。
とはいえ私の作品には「物語性があって~」などと言いつつ、実は普段使いできるデザインもコンセプトとして大事にしていて、ならいっそドッキングしちゃえばいいじゃん!と今に至ったのです。
『キラキラも好きだし、でも普段使いもしたい。』
それでいいんじゃん、と。

そこからはトントン拍子で、物語性があるけど普段使いができて、特別な時にも着けてもらいたい。

――toujours_ensembleしての答え。
あ、私はお客さんにとって自分の作品が『いつでも一緒』に寄り添えるようなものにしたいんだってようやく気が付きました。

とはいえアクセサリーは嗜好品なのでなくても生きていけるものです。
でも身に着けたり持ち歩くことによってちょっと元気がでたり、勇気がでたり、ほっとしたりもできる可能性を秘めていると思い、私の作品はそこを目指したいと思うようになりました。

今となってはこの屋号にして良かったと思うし、ひとりでは作れなかった世界観を皆さんが作るお手伝いをしてくれたことをとても感謝しています。

――toujours_ensembleに込めた願い。
作品があって、身に付けてくださる方がいる。
私の作品はそこで初めて完成します。
私の作品で笑顔や勇気を与えられるとは思っていません。

ただ寂しがり屋な私と気持ちの近い方って必ずいると思うんです。
そんな方に、あなたは一人じゃないよ。
『いつでも一緒』だよって。
そんな思いを込めて日々アクセサリーを作っています。



かなり長い記事となってしまいましたがここまでお読み頂きましてありがとうございます。
また、今回の記事で少しでもtoujours_ensembleのことが伝われば幸いです。

toujours_ensemble もちょ